留学 LMS 大学 ― 学期のずれと時差を越えて学びをつなぐ授業設計

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留学中の学生と授業をどうつなぐか。留学 LMS 大学の運用は、協定校が増えるほど、教務や国際交流の窓口で静かに重くなっていく課題ではないでしょうか。派遣先の大学とは学期の始まりも終わりも異なり、時差もあります。履修登録の期間と現地の授業開始が重なる春や秋には、窓口で同じ相談が繰り返されることも少なくないと思います。

留学 LMS 大学の運用で見えてくる、学期と時差のずれ

国際的な学びの形として、オンラインで海外の大学と授業を共有する国際共同授業(COIL)が各国で広がっています。たとえばアラバマ大学は、2019年に千葉大学と連携し、教員が共同でシラバスを書き、両国の学生が共通の課題に取り組んだ事例を紹介しています。日本でも、関西大学のように COIL を学内の取り組みとして位置づけている大学があります。こうした動きは、授業が一つの教室や一つの国に閉じなくなっていることを示しているようです。

一方で、現場の負荷は別のところに現れます。留学中の学生が日本の授業を一部続ける、あるいは帰国後に単位認定の根拠となる学修記録を示す、といった場面では、「どこで、何を、いつまでに」という情報が学生ごとに異なります。時差のある学生に提出期限をどう伝えるか、現地の学期末と本学の締切が重なったときにどう調整するか。個別の対応で乗り切ることはできますが、担当者の経験に依存しやすい部分でもあります。

日本の大学に固有の事情 ― 年度制と履修登録の慣習

日本の大学は、4月入学・年度単位での運営を前提とした仕組みを長く育ててきました。履修登録、名簿、成績報告のサイクルが年度の暦に沿って組まれているため、秋学期や通年の海外プログラムと並べると、どうしても「例外処理」が生まれます。文部科学省も大学の国際化や留学生の交流を継続的に取り上げており(文部科学省)、制度の側でも柔軟性を高める流れはありますが、運用の細部は各大学の工夫に委ねられているのが実情でしょう。

ここで大切なのは、例外を減らすことよりも、例外が起きても学生が迷わない情報の置き場所を決めておくことかもしれません。たとえば、授業のページに「海外から参加する場合の締切の読み方」を一箇所にまとめる、現地の学期に合わせた課題の出し方を科目ごとに型として用意しておく、といった小さな設計です。これは特別なシステムがなくても、LMS のコース設計の範囲で始められます。Canvas LMS JP のように日本の大学の運用を前提とした形で LMS を整えることも、その土台の一つになり得ます。

標準規格で外とつながる ― LTI 1.3 という選択肢

海外の大学や外部のサービスとつながる場面では、どのツールを使うかよりも、どの規格でつながるかが後々効いてきます。教育ツールの相互運用性を定める 1EdTech の LTI は、LMS に外部ツールを組み込むための標準規格で、1.3 では認証と認可の仕組みが整理されています(1EdTech)。標準に沿ったツールであれば、協定校ごとに別の仕組みを用意しなくても、大学が必要な道具を後から選んで加えられるという見方ができます。

また、Canvas LMS には、教材やコース設計を教員どうしで共有できる Canvas Commons があり、国際連携の準備を整える際にも、他大学の設計を参照できる余地があります。ヨウム株式会社の youmu perch. は、LTI 1.3 で Canvas LMS の中から起動する日本の大学向けの製品シリーズで、学務や授業の慣習とのすき間を場面ごとに埋めることを目指しています。もちろん、留学の運用に必要なものは大学ごとに違いますので、まずは自校の「ずれ」がどこに集中しているかを確かめるところからで十分ではないでしょうか。なお、Canvas および Canvas LMS は Instructure, Inc. の商標であり、youmu perch. は Instructure, Inc. が提供・保証するものではありません。

まとめ

留学 LMS 大学の運用で本当に負担になるのは、制度そのものよりも、学期のずれや時差が個別対応に流れ込んでしまうことだと考えられます。授業ページでの情報の置き場所を決める、コースの型を揃える、そして外部とは LTI 1.3 のような標準規格でつなぐ。この三つは、どれも大きな投資を必要とせず、現場の判断を支えるものです。海外の動向を横目に見ながら、自校のペースで整えていく、という選び方もあるのではないでしょうか。

参考文献

Picture of 倉持智明

倉持智明

ヨウム株式会社代表取締役

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